どんな分野でも言えることですが、使い物になるレベルの技術を身につけるためにはまず最初に知っておくべき基本的な知識を得て、実際に書いてみて、それを人に見せて添削や意見をもらって考え、修正するという繰り返しが必要です。
これは外国語を学ぶ時にまずは基本文法と単語とを覚えるのと全く同じです。赤ちゃんが言葉を覚えるときは文法などやりませんが、それでは何年もかかってしまいます。大人が学ぶならまず基礎知識は覚えてしまうのが一番効率のいい方法です。
しかし知識は覚えただけでは身につきませんので、次に実際に書いてみます。するとたいていうまく行かないのでそれを人に見せて、特に「できる人」に見せて添削をしてもらい、あらためて考える、というのが短期間でスキルを向上させるための最善の方法です。
……という、そんなトレーニングを学生のうちに受けたほうがよいのですが、残念ながら普通の学校ではその機会はありません。そのために就職後のビジネス・コミュニケーションで多くの人が困ってしまうのが現実です。
そこで自分で学ぼうとしたときに、その「基礎知識」としては具体的にどのような項目があるのでしょうか? 開米が企業研修で使用するカリキュラムで扱う項目の一部は以下のようになります。(実際の研修ではこのすべてに触れるわけではなく、さらに抜粋して行います)
- 情報整理の基本
- グループ/パラレル/シリーズ (G/P/S)
- カテゴリーとサマリーのラベリング
- MECEとロジックツリー
- ロジカル・コミュニケーションの5類型
- 深層構造(基本構造)を考える
- 有用なロジックパターン
- 事実・解釈・方針・影響
- 問題・目標・原因・施策
- しくみ・事象・対処
- 状態・トリガー・アクシデント・損害のパターン
- 意図・指示・理由・利益
- 機能・効果・目標
- 事実・問題・ニーズ
- 主語・述語・目的語
- コントローラ&オペレーション
- フロー&コメント
- JEAIモデル
- 目的・目標・戦略・戦術の区別
- Goal/Problem/Howto
- 頻出する注意点
- 重複する単語/フレーズに注意
- 文字数のギャップに注意
- 入れ替え可能なラベルに注意
- 定型的箇条書きに潜む落とし穴
「情報整理の基本」は、業界・職種等を問わず非常に多くの文書で共通して使われるため普段から習慣化しておいて欲しい、きわめて基本的な考え方です。ロジックツリーやMECEは一般的なロジカルシンキングの講座でも扱われます。
「有用なロジックパターン」は、ビジネス実務において良く出てくるパターンですが、人によってよく使ったり使わなかったりという個人差が大きいため、一律に丸暗記するような学び方は望ましくありません。実際に業務で必要が出たときに参考例を見てよく考える、というのが一番効率が良い方法です。
「頻出する注意点」は良くある失敗のパターンを見つけるためのチェックポイントです。俗な言い方をすると「死亡フラグ」のようなもので、「こういう状態があったら超超気をつけろ!!」という項目ですね。情報が整理されていない、品質の低い文書を短時間で見つけたいときには特に役に立ちます。
これらの基礎知識項目の具体的な内容については順次掲載していく予定です。