(もちろん、「会話」にも「プレゼンテーション」にもいろいろなものがありますので、以下の記事は適宜自分の状況、環境と似ているところ、違うところを考えながら読んでください)
みなさん、英語でプレゼンテーションをしたことはありますか?
こんな記事を書き始めておいてなんですが、実は私は数えるほどしかありません。
そんな私が「英語のプレゼンは英会話より簡単かも」なんてことを書くのは勘違いも甚だしい、みたいなものですが、実際そう感じたのです。それには合理的な理由もありますのでここで説明します。 「じゃあ俺も英語でプレゼンやってみよう」と思ってくれる、英語に自信のないエンジニアさんが増える事を願っています。
まずは私の英語力がどのぐらいか? というとまあお話にならないレベルです。あるいは、でした。日本人エンジニアには珍しくないパターンだと思いますが、技術文書で英文を読む必要はあっても、書く/喋る機会はほとんどありませんでしたので、読むのはそこそこ出来ても、書く・聞く・喋るのは全滅というやつです。15年ぐらい前にTOEICを受けたことがありますが650点ぐらいでそこから大して進歩してなかったと思います。
英語が出来たほうがいいだろうな・・・・という気持ちはあるので、たまに思い出したように英語学習系の本を買ったりはしてみるものの、切実な動機がないこと、あるいは「おもしろい」と感じられないことはなかなか続きません(そういう性格なので(^_^;))。そんなこんなで2000年頃から15年ぐらいの間、英語でプレゼンするなんて想像もできない低空飛行を続けておりました。
そんな私が一念発起! したわけでもないのですが3年ぐらい前からなぜかちょっと真面目に英語の勉強をするようになりました(47の手習い・・・(笑))。といっても「読む・書く」中心に細々と独学していただけですが、それでも1年ぐらいでずいぶん読み書きは楽に出来るようになったころで、じゃあ今度は喋るほうもやってみようか、と考えました。
そこで、機会を見つけて外人さんとお話ししてみたわけです。そういう機会を見つけようと思えばいろいろとあるもので、例えば MeetUp というサービスを使うとそういう 「リアルに集まるイベント」 をいろいろと見つけることができます。で、日本人と外国人の交流会的なイベントにいくつか行ってみました。
ですが、やっぱり会話は難しかったですね。相手がなんと言ったか聞き取れないし、返事をしようにも文を組み立てることができない。いやそこでカタコトでもいいから喋ればいいんだよ、コミュニケーションをしようとする姿勢が大事だ!! という考え方はもちろん大事だとは思います。 しかし一方で「これは違うなあ・・・」という感触もありました。何が「違った」のかは後ほど説明します。とにかく私は「楽しく交流しましょうパーティ」系のイベントには数回で行かなくなりました。
一方、プレゼンテーションはどうかというと、先日ある機会に10分ほどの英語プレゼンをしたところ、Evaluator のフランス人からこんな講評をいただきました。
I believe you gave one of the best presentations I have seen(and I have heard many!). It was informative and clear, and the slides were perfectly crafted. I can clearly see the value you bring to your customers and wish you the very best for growing your business.I learned a lot too, so thank you so much for your participation again!
その他に口頭で、日本人のプレゼンには珍しく論理構成がしっかりしていて、まるでアメリカのコンサル会社のプレゼンのようだった、なんてことも言われたのは褒めすぎでしょうが、まあ、論理構成については私の本職なので、そこを評価されるのはある意味当然です。
それにしても、交流パーティでは全然喋れないのにプレゼンテーションは激賞されたのは、どういうわけでしょうか?
要するに、ロジックで勝負出来る場所なら通用する、ということです。
プレゼンテーションは、何か有益な情報を求めて人の話を聞く場です。であれば、相手の事情・関心・ニーズを踏まえて、相手が有益と感じるようなポイントを押さえてロジックを組めばよい。そのロジックを組む段階のスキルは日本語/英語に関係ないので、日本語でできるなら英語でもできるんですね。英語に翻訳する際に多少表現がぎこちなくても、ロジックの柱にブレがなければ十分通じます。
しかも、プレゼンは基本的に「自分が喋る」もので、相手の話を聞き取る必要はありません。
しかも、喋る内容は事前に準備出来るので、瞬間的に頭の中で英作文をする必要もありません。
どうでしょう、「会話よりも簡単」という気がしてきませんか?
実のところ、交流パーティは私には面白くありませんでした。それはろくに喋れなかったせいだけではなく、そこで交わされる会話の内容自体に興味が持てなかったり、ツッコミの甘さに不満を感じたりしたからです。
ああ、俺はにこやかに談笑できる外国人の友達を作りたいんじゃなく、テーマを設定して問題を探求し解決するようなディスカッションがしたいのだ。だったら、こういう場所に来るのは向いていない・・・・と悟ったのが、「パーティ」系のイベントに行かなくなった本当の理由です。(もうひとつ、ここには書けない話もありますが、なにしろ書けない話なので興味のある方はリアルに会ったときに聞いてください(^_^;))
考えてみれば私は昔から「社交的な会話」というものが大の苦手だったのでした。それが好きな人はやればいいと思いますが、どうやら私には向いていない。だったら自分に向いた方法を探そう。と考えて取った方法の1つが英語でのプレゼンテーションであり、実際これはうまくいったもようです。
実際、ITエンジニアは社交的な会話よりも技術的ディスカッションに興味があるという方は多いのではないでしょうか? そして実はその種の会話で出てくる表現のほうが私には簡単に感じられました。というのは、日常会話やパーティトークというのは会話特有の表現やスラングも多く発音も不明瞭でスピードも速いのに対して、技術ディスカッションなら技術文書に出てくる表現がそのまま出てくるし、ゆっくり明瞭に発音してくれることも多く一文も長いためかえって文脈から推定しやすいことが多いからです。
そんなわけで、語学学習も自分の得意分野・興味の持てる分野を使ってするべきである、と考えた私は最近、外国人の日本語学習者向けに日本語の文法を英語で解説するブログを始めました。文法というのは実はロジック図解が役に立つ分野で、概念の抽象化がカギを握ること、自分自身がプロの日本語ライターなので日本語については詳しいことなど、この領域でなら勝負出来ると判断したからです。実際やってみると自分自身にとっても面白いし、英語の勉強にもなるし主な想定読者(日本語学習者)にも好評です。
あなたも、自分にあった学習方法を自分で探してみてください。その1つに「英語でプレゼンをやってみる」ということもぜひ考えてみてください。 「英会話でさえできないのに英語でプレゼンなんてとてもとても・・・」と思うかも知れませんが、これまで書いてきたとおり、実は「英会話」よりもプレゼンテーションのほうが楽な面が多いのです。
エンジニアリングの世界、特にITはワールドワイドです。仕事で英語プレゼンをする機会も、ある日突然やってくるかもしれません。私もまともに勉強し始めたのは47になってからです。今からでも、始めてみませんか?
↓最近始めた日本語学習者向けブログ (仕事ではないので別サイトでやっています)
Kaimai’s bilingual notes ? For Japanese and English learners
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