(機能と効果(簡易版)の続きです)
「機能」と「効果」を分けて考えることで得られるメリットがいくつかあります。
(1)全体像を理解しやすくなる。
たとえば、「自動車」が「交通」と「防災・減災」についてどんな意味を持つか、その機能と用途の関係を書くとパッと思いつくところでこうなります。
必ずしも1対1ではない「機能と効果の関係」が読み取りやすいですね。
(2)「知らないこと」にでも気づきやすい
たとえば、「走れない車であっても、防災・減災に役立つことがある」と聞いて「なぜだろう?」と思ったとすると、それは「効果」を分かっていないという状態なのでこんなイメージです。
自動車が持つ「機能」のうち、「走れる」以外のものが「防災・減災」にどう役立つのか理解していないので空白ができます。 この空白が「知らないことに気づくきっかけ」を与えてくれますし、それが「考えるきっかけ」であり「手がかり」にもなります。
(3)予備知識のない人に説明しやすい
「機能」は製品固有のものですので、用途が変わっても機能は変わりません。
逆に「効果」は用途にひもづくものですので、既存の製品を新しい用途に使うと「効果」は変わってくることがあり、それが理解を妨げてしまう場合があります。たとえば、
車には密閉空間やヒーターがあるので自然災害からの防災・減災に役立ちます
と言ってもなかなかピンと来ません。この説明は「機能」を語っていて「効果」を語っていないからです。「自動車」の主な用途は「交通」ですので「移動できる」という効果については言わなくても通じるのですが、「防災・減災」用途での自動車の意義については普通あまり考えないので、なぜ「密閉空間・ヒーター」が役に立つのかをきちんと言わなければ理解されません。
そこで、
防災・減災のためには雨風や寒さをしのげる居場所が必要です。つまり地震で家が崩れそうな時でも、自動車には密閉空間とヒーターがあるので一時的避難所として使えるんです
と説明したらどうでしょうか? これは「防災・減災」という「用途」に紐づく「効果」を軸に語る方法で、このほうが理解しやすいのは明らかですね。実は、問題に関する予備知識のない人にとっては「機能」よりも「効果」のほうが理解しやすい傾向があるため、機能と効果を分けておくと「効果」を中心に話を組み立てられるので、素人に通じやすい説明ができるようになるのです。
そのようなメリットがあるので、「機能と効果」という考え方を意識して何度も使い、慣れておくことをお勧めします。