「現在の課題は、○○○○です」 と、こういうセリフをビジネスミーティングではよく使いますよね。
でも、その「課題」という言葉を使わない方が、きちんとロジックを整理できて論理的に考えられるようになります。
>と、こう聞いたらおそらくほとんどの人が「えっ?」と驚かれるのではないでしょうか。私が思うに、世間の95%以上の会社ではこんなこと言われてませんから。
「安易に『課題』と言わずに、別な用語を使え」
と上司に指導されたことのある方、もしいたら開米までお知らせください。たぶん多くても100人に数人いるかいないかだと思います。それどころか、
「午後3時までに当面の課題をまとめてくれ」
なんて指示を日常的に受けているのが普通でしょう。
でも実は「課題」という用語、いろいろと違った意味に使われがちで、何を意味しているのかが通じにくいのです。
論より証拠、次の3箇条を比べてみてください。ある会社で「残業を減らす」ことをテーマとしたブレーンストーミングのときに出てきた言葉の一部です。
- A) 良好なコミュニケーションを保つことが課題だ
- B) 無駄な会議が多いことが課題だ
- C) 社員のスキルアップのために新しい技術の勉強会を開くことが課題だ
一見するとおかしなところはなさそうに見えます。文法的に問題があるわけではありませんし。
ところがこの3箇条、実はどれも違う種類の事象を語っているので、本当は使い分けるべきなのです。
すべて「課題」を使わずに表現すると、こうなります。
- A) 良好なコミュニケーションを保つことが目標だ
- B) 無駄な会議が多いことが問題だ
- C) 社員のスキルアップのために新しい技術の勉強会を開くことが解決策だ
大まかに言って「目標」はAだけ、「問題」はBだけ、「解決策」はCだけにしか使えません。
ということは、「課題」という用語は目標・問題・解決策という少なくとも3つの意味を持っているわけです。こういう用語はどうしても意味が伝わりづらいので、使わないことをお勧めします。
実際、「課題」を和英辞典で調べてみると・・・
〈題目〉 a subject; a theme
〈問題〉 a problem
〈任務〉 a task; an assignment
〈宿題〉 homework
〈練習問題〉 exercises
など、様々な用例が挙がってきます。
こんなに多様な意味がある言葉には気をつけたほうがいい、できれば使わないほうがいいし、使っているところを見かけたらどんな意味で使っているのかを確認しよう、ということを記憶の隅に入れておいてください。
まあ、意味が広いからこそ便利だという場面はあります。たとえば、
「A製品で大きな不具合が出たらしいから、対応しなきゃいけない。午後3時までに当面の課題をリストアップしておいてくれ」
といった指示をする/受ける場面を考えてみましょう。こういう場合、そこで出てくる「課題」には、目標も問題も解決策もごっちゃで出てくることでしょう。それらを一言で「課題」と言えるのが便利なことは確かなので、そうした場面でまで「課題」の使用を避けることはないと思います。
しかし、1つのテーマについてじっくり腰を据えて原因分析し解決策を考えるようなときには「課題」はできるだけ津川にほうがよいでしょう。
というわけで皆様、「課題」を使わないことを、今後の課題にしてください(^o^)
(おあとがよろしいようで(^_^;;;;
p.s. この話は最近下記の2誌にも書きましたので、興味のある方はバックナンバーがあれば読んでみてください。
p.s.2: この話はまだ続きます。
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