新刊出来! 本日2023/12/19は「エンジニアが知っておきたい 思考の整理術」の刊行日です! というわけで本の内容を少しずつ書いていきます!
本日は第5章 「報告」系文書を整理するときのパターン からのご紹介。
報告書というのはどんな会社でどんな仕事をしていても必要な文書の代表格で、「簡潔に要点をとらえた報告をする」ことが肝心、とたいてい新入社員研修で教えられますがこれがなかなか難しいものです。よく言われる指針のひとつに、「結論から話すように!」というのもありますが、じゃあその「結論」というのは何なのか、これも案外一筋縄ではいかなかったりします。
そこで、「報告」にはどんな種類の情報が含まれるのか、ごくごく単純な例で考えましょう。
あなたが会社の給湯室で電気ポットのそばにいるとき、誰かから「今、お湯ある?」と聞かれた場面を思い浮かべてください。あまりにも単純な日常の1コマですが、この質問への返事も、実は報告の一種です。あなたは何と答えればよいでしょうか?
「今、お湯ある?」とたずねた質問者は、その答え(報告)を受け取る立場(受領者)でもあります。この質問の意図は、「お茶を飲みたい(からお湯ある?)」かもしれないし、「カップラーメンを作りたい(からお湯ある?)」かもしれません(図5-1)。この意図がハッキリしていればよいですが、「お湯ある?」だけではわかりません。
この場面に関係する情報の構造を整理するとこんな感じになります。
「今、お湯ある?」という質問の背後には「お茶」とか「カップラーメン」という意図があるはずで、その意図を把握しなければ的確な報告はできません。しかも、その意図に付属する「評価基準」も場合によって細かく違うことがよくあります。
ところが、報告を求める「質問者」が、その意図と評価基準を説明していないケースがこれまたよくあります。意図が分からない質問に対しては、「データ」を答えるしかありません。つまり
「95℃ 200ml あります」
という答えになります。意図と評価基準がハッキリしていれば「ある」「ない」という「評価」を答えられるのですが、「お湯ある?」だけでは分からないので「データ」しか返せないわけです。
そしてビジネス実務の現場ではこの「データ」部分の情報量が多くなるのが普通なので、意図の分からない質問にデータを報告すると
「結論から言え、結論から!!」
と怒られたりします。この場合、部下が結論から簡潔に報告できない原因は上司の説明不足にあるんですがね。
「簡潔な報告ができない原因」のひとつがこの「意図と評価基準の不明瞭さ」です。
……以下、こんな内容を書いている本です。どうぞお楽しみください!