この投稿は10/14の日科技連特別講義のチャットで頂いた質問への回答です。 (→回答一覧へ)
【質問】 「しくみ」という言葉の意味が人によって異なってしまいそうです
「しくみ」という言葉の意味が人によって異なることから「”何の”しくみ」を表現すべきかを誤ってしまう気がしました。何のしくみを対象に表現するのがよいか?についてはどう考えるべきでしょうか?例えば「重要な箇所」とか「対処や対策を施すべき対象」だと、分析する前に原因はこれだと特定している(決めつけている)ので適切ではないようにも感じます。
【回答】『しくみ』の意味を形式知として定義するのは難しい(できない)
そこの判断は難しいです。 率直なところ、 「何を『しくみ』としてとらえるか」 を形式知として定義することはできないように思います。
「重要な箇所」 を書くのは間違いないにしても、では何が重要なのかという判断は、たとえ同じ事故について書くとしても目的が違えば違ってきます。 たとえば事態の進行中に問題解決の手掛かりを得るために書く場合と、収拾してから締めの報告のために書く場合とでは別物です。
結局のところ 「何が重要なのか」 を判断するためにはその分野での経験値が必要であり、未熟な担当にはその経験値がありません。 かといってベテランが手取り足取り教えている余裕はありません。
ですが、未熟な作業者に 「しくみ・事象・対処」 を書かせるとベテランには 「あ、こいつはここを知らんのだな」 というのがわかるので教えやすくなります。 そんな形で、ベテランと若手のコミュニケーションツールとして若手の成長を加速するために使う、というのが実用的だと思います。