先日、あるところで「メタファーはアナロジーの一種であり比喩表現の方法である。ただしアナロジーはロジックの類似性に注目するのに対してメタファーは見た目の類似性に注目する」という考え方が正しいのかどうかについて議論になりました。私は直観的に変だなと思ったものの、どう変なのかを説明するのはすぐにはできなかったので、その違いを説明するための図を書いてみました。
当記事では「比喩・隠喩・メタファー」について書きます。アナロジーについては別投稿にします。
まずは「比喩」についてです。あるものを別なあるものに「例えて」説明するのが比喩表現で、図解するとこんなイメージですね。
「比喩」は「集団と要素の関係」について語るものであることに注意してください。ただし実際には「集団」の片方は省略できる場合があります。
上例に出てくるように「日本人/西洋人」のようにペアで使われることが多い概念については片方があれば他方を推定できるので省略することができます。「パンは米飯のような食材だ」と両方を省略してしまうと、栄養・見た目・手触り・味・値段などなど、何について「のような」と言っているのか不明になるので、やりすぎです。
次にメタファーについて考えます。「比喩」では「のような」「に似た」「みたいな」といった言い回しがよく使われますが、これを使わずに示すのが「隠喩(いんゆ)」でありメタファーは主にこの方法のことを言います。
ビジュアルデザインの領域では言葉を使わないため「直喩」ができないので、隠喩=メタファーが多用されます。
おそらくこれが「メタファーは見た目の類似性に注目する」という誤解を生んだのではないでしょうか。確かにビジュアルデザインの世界では「見た目」で何かを象徴させますが、だからといって「見た目に注目するのがメタファーである」というわけではありません。
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