複雑な情報を整理整頓してわかりやすく構造化(図解)するための一番の基本である「グループ/パラレル/シリーズ」略してGPSの考え方について説明します。
目次
複雑な話は構造化しよう!
情報量が多くて複雑な話でも、構造化するとわかりやすくなるので、とにかくなんとかして構造化しましょう。
でも、「構造」って何でしょう? 手短に言うと「何らかの秩序をもって整然と並んだカタチ」のことです。たとえば↓これは秩序がないカタチ
↓これは秩序があるカタチです。
秩序があるほうは、「一直線」とか「三角形」などの名前で呼べますし、覚えやすいですね。
「文章」の中に含まれる「情報」にも構造がある場合が多いのですが、普通の文章では「構造がカタチとして見えない」のが問題です。たとえば下記2つの文を比べてみましょう。
A:カレーを作る手順は、材料を切る、煮る、味をつける、の3段階です。
B:カレーを作る材料は、玉ねぎ、肉、スパイス、の3つです。
Aの文には「順番がある」のに対してBのほうにはそれがありません。
「順番の有無」というのは構造の中でも基本的で重要な情報ですが、文章ではそれがひと目で分からないわけです。1,2文程度の簡単な文章ならそれでも別に困りませんが、長文になるとこれが大問題になります。
今度は長文を読んでみましょう。ある会社で起きたトラブルについての調査メモです。1分だけ読んでみてください。
さて、質問です。
「この件の関係者は誰で、何人いますか?」
1分読んだだけでは、この程度の簡単な質問にも答えられないのが普通です。複雑な情報を短時間で正確に伝えるのは難しいのですね。でも、それができないと仕事に時間がかかってしまうため、生産性が上がりません。
次は同じ情報を「構造化して」図解してみましょう。
今度は「関係者」という欄があるので、全部で実作業者/TL/顧客の3人であることがすぐにわかります。この事件は「複数の関係者がある手順で仕事をするにあたって問題が起きた」という構造なので、それをカタチにするとこうなるわけですね。
こういうものを書くためには情報を「構造化」しなければなりません。ところが、構造化する習慣を持っている人があまりいないので、実際やろうとしてもなかなかうまく行かないのです。
きわめて単純で基本的な構造とは?
「構造」といっても細かく言うと星の数ほどあるのですが、まずはきわめて単純な構造を見つけようとする意識を持ってください。その「きわめて単純な構造」が「グループ(G)」「パラレル(P)」「シリーズ(S)」の3種類で、開米はこれを合わせてGPSと呼んでいます。
グループ構造(G):同種のものの集まり
中でも一番基本的なのが「同種のものの集まり」である「グループ構造(G)」です。要するに、「同種のもの」と考えられる「要素」をいくつか集めて「グループ名」をつけただけです。
たったこれだけの簡単な話ですが、実際に長文の中からグループを見つけようとするとなかなかうまくいきません。だからこそ、普段からその意識を持って練習しておく必要があります。
とにかく,要素数が多くなるほど、グループ分けした方がわかりやすくなります。下記の通り、単にスポーツ名を列挙されるより、球技・格闘技・陸上競技とグループ化しおくほうが見通しが良くなりますね。
上のようなグループ化がしてあれば、たとえば「水上系や雪上系の競技は出てないな」ということはすぐにわかります。グループ化していないと、「水泳は・・・スキーは・・・」と探し回らなければならなくなります。
グループ化したら必ず名前をつけてください。
ところが,ボキャブラリーが乏しいとなかなか良い名前が出てこないもので、それがグループ構造を発見しにくい原因のひとつでもあります。
パラレル構造(P):グループをタテヨコに並べた表形式
次はパラレル構造です。まずは例文を見ましょう。
東日本と西日本について共通の項目で比較している内容ですから、一番素直なカタチで構造化するとこうなります。
要するにタダの表です。
要するにタダの表です。
大事なことなので2回書きましたが要するにタダの表です。
タダの表ですがこれが非常に使用頻度が高いので重要です。
パラレル構造は実際には複数のグループをタテヨコに組み合わせたものですので、まずはグループを見つけないとパラレルは作れません。
したがって、グループを見つけることが一丁目一番地として重要なのです。
シリーズ構造(S):何らかの基準で順番をつける
最後の「シリーズ構造(S)」というのは、複数の要素に何らかの基準で順番をつけたものです。
「順番」を表現するために矢印を使う場合が多いですが必須なわけではなく、用は「こういう基準で、意図的にこの順番で並べている」ということがわかるようになっていればOKです。
順番をつける基準としてよくあるのは因果関係や時系列、位置などです。(もちろんこの他にも無数にありますが)
シリーズもグループ、パラレルと同様にきわめて単純ですが、単純だからこそ使用頻度が高く、どんな分野の情報にでも使えるので、普段から意識して探すようにしておくことが重要です。
人間は、どんな単純なことでも、普段やっていないことはできません。GPSも理屈は単純ですが普段からやっていない限りいざという時にはできません。とにかく日常的に習慣づけてください。
一見複雑な図も実はG/P/Sの組み合わせ
既出の物品紛失事件の図も実はGPSの構造の組み合わせです。
問題、手順、関係者はグループですし、借用→供与→返却→返却という「手順」の流れはシリーズです。「関係者」と「問題」の並びは部分的に表形式(パラレル)になっています。
一見複雑な図も実はG/P/Sの組み合わせである場合がきわめて多いので、普段からG/P/Sを考える習慣をつけておいてください。