ちょっと面白い、だけでなく国語教育がかかえる「深刻な問題」がわかる記事が目に止まったのでメモ。
?小学生はなぜごんぎつねの気持ちを考えさせられるのか|不道徳お母さん講座|堀越英美|cakes(ケイクス)
「ごんぎつね」は、なんと「1980年以降、すべての小学校国語教科書で採用され続けている定番中の定番教材」だそうです。残念ながら(?)僕はごんぎつねを読んだ記憶がないんですが。
記事中の興味深いポイントを列挙すると
“とある小学校の『ごんぎつね』学習指導案では、授業時間11時間のうち半分以上の6時間が、「いたずらをするごんの気持ちを読み取る」「ごんを撃った兵十とその時のごんの気持ちを読み取る」といった「気持ちの読み取り」に充てられている。”
“子供たちが将来社会生活を円滑に営むためにも、「気持ちを勝手に察するのはやめよう。きちんと言葉でコミュニケーションをとろう」と教えたほうがよいのでは?”
“日本の国語の授業が心情の読み取りに時間を割きすぎていることは、識者からもしばしば指摘されるところである。”
“一般的な大人にとって必要な読解能力とは、大量のビジネス書類や時事ニュース、メール・社内チャットツール・グループウェアのやりとり、マニュアル、煩雑なお役所文書、書籍・雑誌・パンフレット等の多種多様な文章を手早く読んで、必要な情報を抽出する能力である。”
“教室の中の子供たちは、いじらしいごんぎつねの気持ちを想像して共感し、その死を憐れむことを、暗黙の裡に期待されている。それを一番よく知っているのは、当の子供たちである。”
“小学校の国語教科書を網羅的に分析した石原千秋氏は、その理由を端的に述べている。「現在の国語という教科の目的は、広い意味での道徳教育なのである」(『国語教科書の思想』)。石原氏によれば、国語で育むべきとされる読解力とは、「道徳的な枠組から読む技術」にすぎない。したがって道徳的に「正しい」心の動き以外の読解は、すべて不正解とされてしまう。”
・・・・と、こういう国語教育を僕もずっと批判してきたので、いちいち思い当たることばかりです。
以下、参考リンク
「グラフや表の正しい読み方、箇条書きの正しい書き方、資料の妥当性の検証などの論理的な活動は、筆者の気持ちを推し量ることや、発表するというような活動に比べると圧倒的に少ない。」 デジタライゼーション時代に求められる人材育成
思考、表現の武器としての国語の刷新が第? “シン・ニホン” AI×データ時代における ?本の再?と?材育成
昨今、注目を集めている「言語活動」を最も育てられる教科は「理科」です 理科だからできる本当の「言語活動」
「私は日本の子どもは以前から、いわゆるPISA型読解力は弱かったという認識を持った方がよいと考えています。なぜなら、日本の伝統的な国語教育に大きな問題があったからです。完全な文学偏重型の教育で、例えば作文も読書感想文や生活作文ばかり。自分が調べたこと、知っていることを皆に伝える「説明文」、自分の主張を述べる「論説文」については、ずっと軽視されてきた観があります。」 いま求められる「国語力」とは ? 市川伸一・東大教授のインタビューなど
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