ロジック図解練習:基本構造に注意しよう!

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(本稿はnote.comに掲載した記事の転載です)

それは今からNヶ月前のある日のこと。

「開米さん、Windows Server マシンに複数ユーザーが同時にログインできるようにする方法を2種類ロジック図解してみたので、添削お願いします!」

と言われてしまったので添削しました!

今回のお題はITインフラ屋さんしか分からないような専門用語が出てきますが、それを知らなくても一般的に通じるエッセンスを学べるので、知らない用語が出ても気にせずに読んでください。(我ながらちょっとマニアックな例だなあとは思いつつ……)

お題はこちら↓↓↓です。

Windows Serverのマシンに複数ユーザーが同時にログインできるようにする方法

と、以上2種類です。(専門用語はあえて説明しません)

この書き方で良いか……というと、ちょっと問題がありますね。

この2種類の図の、細部ではなく全体をぼやっと眺めるとなんとなく形が似ています。というか、よく似ています。

こういうふうにおおまかな形(概形)が似ていることに合理的な理由があればいいんですが、今回の例はおそらく該当しません。

この話はこういう例を見てもらうと分かるはずです。

二台の乗用車があるとしましょう。どちらもタイヤが4つあってエンジンで駆動する、という基本的なしくみは同じですが、馬力とか乗車定員といった細部には差があるとします。

細部は違っても「基本的な仕組み」が共通な場合はよくあって、これを私は「基本構造」と呼んでいます。ロジック図解をするときには基本構造を考えるのが非常に重要なのです。

実は、図を書いたときに「おおまかな形(概形)」が同じだと、基本構造が同じだという印象を与えやすいんです。

世の中にもし6輪の乗用車があれば上の図はこんなふうになりますよね。

これなら、パッと見た瞬間に「6輪車だ!」と、基本構造のレベルで差があることが分かります。

今回のお題の場合、方法1と2ではマシンの数に差があり、ライセンスを実際に適用するマシンの場所も違います。これは基本構造レベルの差と考えられるので、それを可視化する必要があります。したがって、「概形が同じ図を書いてはいけない」わけです。

ではどうすればいいかというと、具体的にはこんな書き方ができます。

これなら概形が違うので、パッと見た瞬間に基本構造が違うことが分かりますね。

「これ、1枚目の図を書いてから、そのレイアウトをそのまま流用して2枚目書いたんじゃない?」と作者に聞いてみたところ、そのとおりでした。

図を書くのに慣れていないと、レイアウトをいじるのに時間がかかるのでついつい一度書いたものを流用したくなりますが、基本構造が違う場合はそれをやっちゃいけないわけです。

(ところが基本構造を考える習慣を持っている人が案外少ないので、この種の失敗がよくあるのです……という話はいずれまた)

以下余談ですが、図解が必要な場面というのは「複雑難解だからこそ図解したい」はずで、ところが「複雑難解な情報はたいてい専門性が高いのでそれを添削できる人も少ない」のが困るところです。実際、今回のお題でも「RDS CALって何?」ということがわからないと修正できません。ビジュアルデザインのセンスがあってもこういう添削はできないわけです。

……「社員がわかりやすい文書を書けるようにしたい」と思う経営者や管理職は多いのですが、そのためには日常的にこういう添削をしていく必要があります。しかし「専門的な文書を添削できる人がいない」、という壁はなかなか乗り越えられません。

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