事例:(バッドステート)水筒からお茶が漏れた

投稿者: | 2020年12月1日
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先日ご紹介した「不適切状態・トリガー・アクシデント・損害」に分けるというパターン(略称:バッドステート・パターン)ですが、ロジック図解の通信添削をしているお客様先社員が書いた事例を見ていると、「不適切状態」の解釈は案外難しいようです。

たとえばこんな例文です。(かなり簡略化してあります)

高校生のKさんはある日、水筒で学校にお茶を持っていくことにした。
しかし、使用した水筒にパッキンがついていないのに気づかず、密閉されていない状態の水筒にお茶を入れたうえ、水筒を鞄に横倒しに入れて登校したため、鞄の中でお茶が漏れてしまった。

この文章を素直に読むとこんな解答が出やすいんです。

「不適切状態・トリガー・アクシデント・損害」は基本的に上から時系列で起きるものなので、時系列をたどって書くとこれで良さそうに見えるし、これはこれで間違いとも言えないのです。

しかしここで「不適切状態はたいてい長期間継続している、良くない状態」であるという観点で見るとどうでしょう?

「長期間継続する不適切状態」があると、「同種のトリガー/アクシデントが繰り返し起きやすい」という傾向があります。1回のトリガー/アクシデントは単発の出来事ですが、それが何度も起きうるわけです。

その観点で見ると「密閉されていない水筒を使用した」というのは単発の出来事であり何度も起きうることなので、トリガーと考えるほうがいいですね。

すると、「横倒しでカバンに入れてしまった」というのもトリガーなので、修正するとこんな流れになります。

トリガーCとDが複合してEが起きた、ということですが、それではCの前にあるAに当てはまる「長期間継続している良くない状態」とは何でしょうか?

(なお、Bもいちおう空欄を置いておきましたが、実際はD=水筒を横倒しで鞄に入れる こと自体は通常は何の問題もない行為なので、Bは「問題なし」として無視できます)

原文に書いてありませんが、おそらくこういうことと思われます。

「パッキンがついている」のが当たり前なので普段は確認していなかった、というのが一番ありそうな仮説です。これなら単発の現象ではなく「長期間継続する良くない状態」と言えます。

しかしそれでも今までは問題が起きなかったのに今回はアクシデントになってしまったのはなぜでしょう? おそらく、今回に限ってパッキンがついていなかったからですね。ではなぜそれが起きたのか? と考えると、ありそうな仮説はこういうものです。

パッキンを外して洗うのはたまにすることなので普段はAで問題なかった。ところがたまたま外して洗った後、戻すのを忘れていた(B)ため、それがAと複合してCが起きた、という構造がありそうです。(原文には情報が無いので、あくまでも仮説です)。

仮説を立てるというのは非常に大事です。もしこの仮説が正しければ、こんな対策を考えることができます。

Aへの対策がG、Bへの対策がHということで、この両方が抜けたときに限ってCが起きるので、ここまで考えられればかなり有効な対策になるでしょう。

さて、ここでもう一度最初の解答を見ると……

この解答からは対策Hはなかなか出てこないでしょう。それはなぜかというと、「不適切状態」の掘り下げが甘いからです。実際のところ、「アクシデント(事故)」が起きたときは、直接のトリガーのほうに気を取られて、それ以前の「不適切状態」に注意が向かないことがよくあります。

そんなわけで「不適切状態」の解釈・発見はなかなか難しいので、今回の事例のような簡単な例題で何度も考えてみてください。そして考えたらぜひ開米にお知らせください! (多くの人の参考になるような事例を集めたいのです)

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